眉月じゅんさんが書いた漫画「恋は雨上がりのように」
前からネット広告で見かけていたこととアニメ化、映画化したことから
興味があったのでNetflixでアニメ全12話を一気見したので、
3つの見出しに分けて感想を記したいと思います。
※ネタバレ含みます。
景色が綺麗
まず、一通り観て思ったのが「景色が綺麗だな〜」と思いました。
もちろん、ヒロインも綺麗な人ではあるんですが、
恋愛もののためか登場人物の心情の変化を視聴者になるべく細かく伝えるためか、
景色の美しさが映えており、
小説で描かれる描写を完全に再現したかのような感覚で楽しむことができました。
店長の人の良さがあきら視点だと言動,行動から滲み出てくる
仕事の責務を果たさないといけない、人生の折り返し地点(年齢)であるため、
世間から落ち着いた行動を求められる立場の店長ですが、
実際は業務ミスを連発して部下から「頼りのない上司」とみられ信頼を得られておらず、
人と仕事する能力や管理する能力が優れていないように見えます。
ヒロインあきらのアプローチから避難するため、
諦めさせるために自分が魅力的な人間ではないことをあきらに伝えているものの、
仕事から離れたプライベートを見れば、店長は人に対しての思いやりが強く優しい人間であり、
小説を書くことを夢に抱いている一面を知ることができます。店長の思いやる優しさは、
年齢や一度家庭を持った経験以外に、
学生時代から培ってきた小説を書くことからきているのかなと私は思いました。
小説の面白さとして、単純に起承転結の内容の面白さもあると思いますが、
ある出来事に登場人物が直面したときに
「どんな気持ちになって、どうしたいのか、実際はどう行動したのか」について描かれていると、
そこから登場人物の人柄を知ることができ、自分(読者自身)だったら
どうするかと感情移入して、共感したり、批判したりと、登場人物と自分を重ね合わせ、
比較をする楽しさもあると思います。
読者に本を読んでもらうことでどう感じ取って欲しいのか、
考えながら本を書いていく中で、良い本を書くために、私生活の中で他人に対し
「この人は今どんな感情をもっているんだろう」という人の気持ちを汲み取る能力が
自然に備わったのかなぁ〜と思いました。
そのため、あきらが抱えている(恋愛以外の)悩みに気付き、気配りが
できていたのかと勝手ながら思います。
店長は決してあきらにだけでなく、
他の人に対しても分け隔てなく優しく振る舞っていると思いますが、
職場の部下からすればどうしても仕事面の評価のみで頼りない人間だと見ているため、
店長に対しての印象があきらと全然違うのが面白いですね。
あきらが怪我を理由に部活を断念し絶望していた中で、
店長が励ましてくれたことをきっかけに、
あきらから見た店長は希望そのものだったように感じます。
そんなあきらの目線(フィルターがかかった上)でこの物語が描かれているため、
(あきらだけが知っている)店長の魅力を深掘りしていく物語となり、
あきらが店長の魅力を垣間見るたびに、宝石を見つけた様に嬉しくしている様をみると、
とても心がほっこりしますね。
私にとって文学はあまり興味はなく、
本作の様にアニメに文学を題材の一部として盛り込まれたものを初めてみましたが、
店長の目線からみた文学には魅力が伝わってきました。あきらにとっても、
今まで受けてきた退屈な文学の授業が店長と出会うことで
特別なものに変わっていく様がみていて楽しかったです。
恋を成就させてハッピーエンド、じゃなかったのがよかった
恋愛ものの王道エンディングとして、付き合って幸せになりましたとさ、
めでたしめでたしという話が多いイメージですが、
結果として、この漫画・アニメは恋が成就しません。
でも、この物語にガッカリすることはありませんでした。
この物語は恋を成就させて、読者・視聴者に気持ちよく観終わってもらいたい、
ということよりも、あきらと店長が出会ったことで、恋、夢、友情などに関しての
挫折に直面するあきら、直面して諦めていた店長が少しずつ考え方が変わっていき、
また前向きに挑戦していこう決意する二人の心情の変化(過程)を読者・視聴者に
楽しんで欲しいという意図がなんとなく作者から伝わりました。
私が特にお気に入りなのが、店長と作家ちひろとのやりとりです、
学生時代の思い出に楽しく浸りながら、当時思い描いた未来と現実を比較して嘆げくものの、
友情はしっかりと健在しているシーンが恋愛以外の大切なものとして、
丁寧に表現されているからです。
あきらは現在進行形、店長は過去完了形と物語りの設定が異なる点も魅力の一つだと思います。
恋愛だけ成立すれば、幸せになれる世の中ではないので、
恋愛目線だけで言えば微妙な終わり方ですが、
人生という広い目線で見ればよほど、
こちらの方が綺麗な結末だったのではないかと私は思います。
以上で感想は終了です。具体的にどこどこのシーンがどうとか細かく書けず、
かなり抽象的な内容になってしまいました。
というより、そんなことしたら限りがない、それ程魅力的な物語だと思います。
興味のある方はぜひご覧になってみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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