Unityで個人開発をしていると、実装できることがどんどん増えてきて、気づけば「盛りすぎた構成」になっていた──そんな経験はないでしょうか?
この記事では、私自身がUnityでゲーム・アプリを開発する中で「複雑にしすぎたことで逆に回らなくなった」失敗談と、そこから得た“引き算”の設計視点について紹介します。
実装できる≠実装すべき、という罠
Unityの機能やアセットは非常に強力です。以下のような「やろうと思えばできる」ことが山ほどあります:
- 複数の機能や状態を組み合わせて“網羅的に対応できる構成”にする
- UIやデータ構造に多くの変数・例外パターンを含めて“柔軟性重視”にする
- セーブデータの構造に汎用性を持たせすぎる
最初は「拡張性のあるシステムにしよう」「どんな仕様でも耐えられるようにしよう」と意識して設計していたはずが、気づけばコードもデータ構造も複雑化。
結果:変更が怖くなる/デバッグが難しくなる/使われない機能を量産する
実際に“引き算”して効果が出たポイント
1. 複雑な操作UIを削って自動化に切り替えた
ユーザーに選ばせる構成を用意していたが、選択肢が多すぎてかえって混乱を招いた。そこで一定のルールで自動化した結果、認知負荷が下がり操作が直感的になった。
2. 複雑なスケジューリング設定をやめて単純な時間指定に
1分ごとに通知再登録などの細かい制御をしていたが、1日1回の固定通知に切り替えたことで実装・テスト工数ともに大幅に削減できた。
3. 複数形式の初期データを統一して見通しを良くした
当初は複数形式のデータ(CSV, JSON, アセットなど)を読み込んでいたが、形式を1つに統一したことで不具合の温床が減り、メンテナンスも簡素化された。
4. “全部保存”から“本当に必要なものだけ保存”に
あらゆるデータを保存対象にしていたが、結果的に復元処理が煩雑になり、バグの温床に。重要な状態だけを保存し、その他はデフォルトに戻す設計にしたことで実装が軽くなった。
引き算の判断基準にしていること
- “プレイヤーの選択に意味があるか”を問う
- 意味のない選択肢は整理 or 自動化する
- “アップデート時に壊れそうな箇所”を意識する
- 可変部分が多すぎると後々の変更コストが高い
- “操作しながら理解できるか”を基準にUIを絞る
- 最初のチュートリアルなしでも直感で遊べるか?
引き算は「諦め」ではなく「設計」
機能を削るのは「実装を諦めた」ように見えるかもしれません。ですが、実際には**「届けたい体験を絞った」**結果です。
特に個人開発では、
- 実装リソースも
- テスト時間も
- ユーザーの理解力も
すべてが限られています。
だからこそ、削ることには意味があります。
まとめ
- 複雑な設計=高品質ではない。引き算によって“伝わる体験”に近づける
- プレイヤーにとって意味がある要素に絞ることで、開発効率もUXも向上する
- 実装できることが多い時代だからこそ「やらない理由」を持って設計していく
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